【知らないと損】雇用保険料ゼロに!でも失業給付もゼロ
会社員時代、給与明細をよく見ると「雇用保険料」という項目があります。給与の0.6%が天引きされていて、年収500万円なら月約2,500円。ほとんどの人が気にしたことがないはず。

会社を辞めて一人社長になると、この雇用保険料の支払いがゼロになります。「知らずに損する見えない徴収」から解放される一方で、失業保険のセーフティネットも失うというトレードオフがあります。
そもそも雇用保険料とは?
雇用保険は、会社員が失業した時の生活保障や、職業訓練・育休給付を支える保険制度です。会社員時代は給与から自動で引かれているので、ほぼ意識しないまま納付しています。
- 労働者負担:給与の0.6%(一般事業の場合・2026年度)
- 事業主負担:給与の0.95%
- 合計:1.55%が会社と労働者で折半される
年収別 雇用保険料シミュレーション
労働者負担分(0.6%)を年収別に計算するとこんな感じです。
| 年収 | 年間 雇用保険料(労働者負担) | 月額換算 |
|---|---|---|
| 300万円 | 18,000円 | 1,500円 |
| 400万円 | 24,000円 | 2,000円 |
| 500万円(給与所得者の中央値レンジ) | 30,000円 | 2,500円 |
| 600万円 | 36,000円 | 3,000円 |
| 700万円 | 42,000円 | 3,500円 |
| 1,000万円 | 60,000円 | 5,000円 |
給与所得者の中央値レンジである年収500万円なら年間3万円。会社負担分(0.95%)まで合わせると、本人と会社で年間約7.7万円が雇用保険に消えていたことになります。年収が高い人ほど負担額も大きく、節約効果も大きい仕組み。
毎月の給与明細でこの金額を意識していた人は少ないはず。会社員の「見えない徴収」のひとつです。
起業すると雇用保険料はゼロ
会社を辞めて一人社長(役員)になると、雇用保険の被保険者ではなくなるので保険料の支払いがゼロになります。
つまり、上の表で計算した金額がまるごと固定費削減になる計算。年収500万円相当なら年3万円、給与所得者の中央値前後の人にはそれなりの節約になります。
なぜ役員は雇用保険対象外なのか
雇用保険は「労働者を守るための制度」。法人の代表取締役・取締役は使用者側とみなされるので対象外です。
つまり一人社長は「自分が自分を雇っている」状態だけど、雇用保険の世界では「労働者ではない」扱い。だから保険料も支払わないし、給付も受けられないということになります。
⚠️ でも失業給付もゼロ
節税メリットは大きいですが、見落としがちなデメリットもあります。それは:
事業がうまくいかず会社を畳んでも、失業給付はもらえないということ。
会社員なら「最悪、失業保険でしばらく食いつなげる」というセーフティネットがありますが、一人社長の場合、廃業したらすぐ無収入になります。
ただし「離職票」を保管していれば最大4年特例あり
退職時にもらった離職票を保管していて、起業後すぐに「受給期間延長申請書」をハローワークに提出していれば、最大4年間失業給付の権利が残せる特例があります(2022年7月施行)。
これは知っている人が少ない神制度。詳しくは別記事で解説しています。
→ 【知らないと損】起業しても失業給付4年もらえる+再就職手当の選び方
セーフティネットを自分で作る代替策
「会社員辞めて生活が不安…」という人ほど知っておきたいのが、起業家向けのセーフティネット。しかも節税効果のある制度ばかり。
①小規模企業共済
- 月額1,000円〜70,000円で積立可能
- 法人の場合は、役員報酬を受け取った個人から払う(会社の経費ではない)
- 掛け金全額が個人の所得控除(所得税・住民税の節税効果)
- 廃業時に退職金として受け取れる
- 低金利で貸付制度もあり
※ 注意点:減額するとデメリットがあり、廃業・退職まで解約できない縛りもあります。筆者は深く調べずに加入してしまい、ちょっと後悔中。ただ月1万円で掛けてるので痛手は少なめ。
※ 純粋に節税×自由度を求めるならNISAのほうがおすすめ。引き出し自由・利益非課税・運用幅広で、共済より柔軟。
②倒産防止共済(経営セーフティ共済)
- 月額5,000円〜200,000円で積立
- 法人から払う(個人ではなく会社経費)
- 掛け金全額が法人経費(法人税節税)
- 法人設立2年目から加入可能(1年目は加入不可)
- 取引先の倒産時に積立額の10倍まで無担保で借入可
- 40ヶ月以上加入で解約時100%返戻
※ 筆者も加入中。法人税の節税と将来の備えをセットでできるので、法人2年目を待って即加入しました。
③労災保険の特別加入
業務中・通勤中のケガに備える保険。2024年11月から全フリーランスが対象に。月数百円〜から加入可能。筆者は加入していません(IT系・在宅中心のためリスク低と判断)。
→ 詳細は 労災保険の特別加入、起業家も入れる!加入すべきかの判断軸と保険料 で解説しています。
④民間の所得補償保険
病気・ケガで働けなくなった時の収入をカバーする民間保険。雇用保険にはない「業務外の長期療養」もカバーできるのが強み。
※ 筆者は加入する予定すらありません。健康保険の傷病手当金(給与の2/3・最大1年6ヶ月)でカバーできる範囲と判断しています。
まとめ:節税メリット+セーフティネット自作のセット運用
会社員から一人社長になると、雇用保険料がゼロ化する一方で失業給付ももらえなくなります。
- 給与所得者中央値(年収500万円前後)なら年3万円の固定費削減
- 失業給付なしのリスクは 離職票4年特例+小規模企業共済でカバー
- 節税効果のある共済を活用すれば、会社員時代より手厚いセーフティネットを作れる
「会社員のほうが安心」というイメージは、実は制度を知らないだけかもしれません。一人社長は自分でセーフティネットを設計できる自由がある立場、と捉えるのが正解。
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